都内23区の2012年度当初予算を見ると…
「田中和子区議会レポート」NO.36では文京区の予算について報告しました。ここでは、23区の財政状況や事業の特色を拾ってみました。

 都内23区の財政状況は、基金残額は、特別区税の見込みは  

◆どの区も景気の低迷、欧州を中心とした通貨危機や急激な円高、東日本大震災の影響などのため区財政を取り巻く環境は厳しいとして予算編成を行っています。一般会計予算額を2011年度に比べ減額した区は18区、増額は5区です。財政調整基金の取崩しを行う区は目黒区を除く22区です。23区総じて、区民サービスに大ナタを振るうような事業廃止はなく、「縮小」、「見直し」という程度で、財政調整基金を取り崩すことでサービスの継続ができるという恵まれた状況にあります。
◆基金には、家計に例えれば、何でも使える普通預金である財政調整基金と、学校改築や区有施設整備のために積み立てている特定目的基金があります。  
予想される2012年度末財政調整基金残高が当初予算の何%を示すか、計算してみると、23区では、千代田区が当初予算461億6千万円に対し、基金残高見込み額は252億6千万円で55%、港区は52%、渋谷区は35%、次いで文京区は29%、次は中央区と大田区で14%です。以下、10%台が3区、残り14区はそれ以下です。ここでも文京区は優等生です。
◆歳入で一番大きなウエイトを占めるのは特別区税です。特別区税には、特別区民税、軽自動車税、特別区たばこ税、入湯税があります。文京区では歳入の38.3%を占めます。この特別区税を2012年度に前年度より増加と見込んだ区は13区あります。
文京区は1.7%の増を見込んでいます。これは、年少扶養控除の廃止による特別区民税の4億円増加とたばこ税(2011年度は値上げにより減少を見込んだが、補正で増額するなど、税収は減らなかった)の増加によるものです。


 近隣区など10区は、どんな事業を行うのか

 2012年度は、どの区も災害対策に大きな力を入れています。放射線対応はまちまちです。文京区の近隣区と津浪・高潮対策を打ち出した品川区、財政が豊かといわれる港区、中央区、千代田区の10区の当初予算総額、前年比、災害対策、放射線対策、その他の主な事業について一覧にしてみました。ご覧ください。

当初予算総額
(一般会計)
前年比 災害対策関係 放射線対策 その他の主な事業
荒川区 8747000万円 4.5%減 福祉作業所を障害者の避難所に位置づけ 子どもの貧困対策に689万円
台東区 938億 円 6.8%減 谷中地区での「防災・コミュニティ―施設(仮称)」の整備 空間、学校給食の
測定継続
台東保育園等の複合施設大規模改修、スカイツリー観光復興
北 区 13277400万円 3.0%減 避難所機能強化、
水害対策
地域包括(高齢者あんしんセンター)に高齢者支援医を配置
新宿区 13721945万円 1.4%減 公園に災害用トイレ、
多目的水槽を設置
NPOと連携し、生活保護世帯の就労支援拡充
豊島区 9919081万円 3.7%減 帰宅困難者対策、
り災証明発行システムの構築
アジアセーフコミュニティ会議、新庁舎整備、JR大塚駅南口整備、全てのがん検診を無料化
板橋区 18153000万円 3.2%減 災害時要援護者対策強化で災害時要援護者班を新設 生活保護受給者の就労支援強化
品川区 13259756万円 3.8%減 避難所設備の充実・備蓄品の増強、津波・高潮対策のための海抜標示板設置 給食用食材の測定 幼保一体施設2園開設、区立型サービス付高齢者住宅設置
港 区 10355000万円 10.2%減 帰宅困難者対策 空間、学校給食の測定継続 区立保育園2園開設、区民の声センター設置、デジタル教科書導入
中央区 7896989万円 12.1%増 緊急告知ラジオ1000円で頒布、災害時要援護者支援マニュアル作成 築地市場移転後の賑わいづくり、桧原村で森林保全活動
千代田区 4616263万円 5.6%減 マンション防災対策 高齢者サポートセンター設計、子ども発達センター開設

(『都政新報』記事をもとに田中和子作成)



最近の区政の動きから

その1:放射線測定器貸し出し

 区が購入した放射線測定器の貸し出しを「田中和子の区議会レポート」N0.35でお知らせしました。
 その後、個人にも貸し出しが行われるようになり、3月26日までに74件の貸し出しが行われました。個人が52件、団体22件(町会、集合住宅管理組合、PTAなど)です。区は地上1mの高さで、測定値が0.23マイクロシーベルトを超えたときは清掃の徹底など汚染を除去する方針です。これまで測定器の貸し出しによる測定でこの値を超えた報告はありませんが、0.23マイクロシーベルトに近い値を示した3件(公園、砂場)は清掃を行いました。4月1日からは貸し出しの事前予約が開始され、3か月先までの予約ができます。
 学校給食においては、放射性物質の測定を昨年12月に行い、安全が報告されました。私たち「市民の広場・文京」は、予算審査特別委員会で、引き続き継続的な測定を求めましたが、区は「継続的な実施はしない。複数の施設を対象とするサンプリング検査をする方向で検討している」と答弁しました。どのようなサンプリングを行うかなど課題があります。これからも安全対策にしっかり声をあげてまいります。

その2:国有地の活用

 区は「国有財産取得要望」を関東財務局に提出しました。これは、小石川5丁目11番にある国有地を取得し、高齢者を対象とした短期入所生活介護(ショートステイ)を中心とする施設を整備することが目的です。
 区は2012年9月補正予算で対応したいとし、国に7月までに価格提示を要望しています。
 23区のショートステイサービスの整備率(65歳以上人口に対するショートステイ定員)を見ると、整備率が一番高いのは、千代田区(0.32%)、以下、渋谷区(0.28%)、中央区(0.27%)、港区、江東区(ともに0.26%)と続き、23番目、なんと「ビリ」は文京区の0.11%です。
 区長よ、イクメンもいいけれど、高齢者施策の充実もしっかり行うべきですよ。あなたもいずれ通る道です。いつも高齢者に対する予算はお粗末。

その3:文京区も導入PPS

 PPPSは特定規模電力事業者のことです。電力会社が設定する高い電気料金に反発する大口顧客にとって、調達の選択を増やす意義があります。東日本大震災後、東京電力の値上げ表明もあり、自治体の多くは競争入札によるPPSへの転換を図る自治体が増えています。PPSとして国に登録している50社のうち、実際に事業を行っているのは26社にとどまっています。これは、PPSは電力会社や企業の自家発電の余剰電力を仕入れて販売する割合が自社発電に比べて高く、原発の停止で電力会社が外部への卸売りを絞ったことから市場価格が高騰し調達がむずかしくなっているからです。文京区の指名競争入札には2社の応札があり、東京ガス系の(株)エネットが落札しました。2012年5月から2013年4月までの1年間の契約です。当初、区は年間500万円の節減になるとしていましたが、東京電力との契約期間の清算に200万円を要するため、300万円の削減予定です。