田中和子の区議会レポート

 衆議院解散・選挙をにらみ、政党の動きが活発になっています。政権交代をしたものの、消費税増税 や「コンクリートから人へ」の象徴であった八ッ場ダムの建設再開、子ども手当ての見直し等々、公約 違反を繰り返す民主党政権への失望とこれに対峙する野党政党の不甲斐等々、政治の劣化はますます進んでいます。
 昨年行われた大阪府知事・市長選で「大阪都構想」を掲げた橋下市長率いる「大阪維新の会」が多くの票を集めたのは、既成政党に不満をもつ人の投票行動であったともいえるのではないでしょうか。地方からの制度改革を発信したことには意義がありますが、橋下政治の目指すものや強権的な手法には、大きな不安を覚えます。ここでは、「大阪都構想」のモデルとなった東京都と23区における特別区制度について述べたいと思います。

 
市より権限のない区

 国は地域主権一括法で都道府県の持っている都市計画の用途地域の決定権限を市区町村へ移譲するとしましたが、特別区のみが除外されました。これは「都として一体の都市計画が必要」という理由からです。このように23区は地方自治法上では「市区町村」として同等の扱いですが、市町村と比べ権限がない部分があります。2001年に千代田区が基本構想に「市を目指す」と明記したのもうなずけます。
 現在、都と23区の間では、役割分担(事務配分)と税財政制度の見直し、区域のあり方について協議が行われています。
23区は住民に身近な自治体として、都でなければできないもの以外は区が行い、それに伴う財源を区に移してもらい、基礎的自治体としてさらなる権限の拡充を望んでいます。


都と区の事務配分見直し

 都の全ての事務(内部管理事務を除く)を対象に検討し、444項目について検討の方向付けが終わりました。このうち区に移管は53ですが、実務レベルでの具体化等は未定です。ただし、児童相談所の区移管については、他の課題と切り離して検討をすることになりました。これは江戸川区で起きた虐待をうけた子どもの死亡という痛ましい事故が検討を早めました。
 都は事務配分の検討と特別区の区域のあり方の検討はセットで行うべきで、「特別区が人口50万人以上の規模となった場合を想定して配分を検討した。ただし、これをもって移管の前提条件とするものではない」とし、区域の再編(区の合併)の議論が必要と主張しています。


税財政制度の見直し

 現在はまだ議論が始まっていませんが、都と区の間には「都区財政調整制度」という法律上の制度があります。これは、23区には千代田区や港区のように税収が多い区もありますがそうでない区もあり、23区の財源偏在に応じた財政調整の仕組みです。
 都は23区から3税(固定資産税、市町村民税法人分、特例土地保有税)を徴収し、その55%を23区の財政需要に応じ配分し、45%を都が行う大都市事務(消防、上下水道など)に使います。2010年度の3税の税収は1.6兆円で、区への55%分は約9,000億円、文京区が受け取った交付金は182億円でした。この配分にも多くの課題があります。また、都から区への事務配分に応じた見直しも必要になります。


橋下市長の大阪都構想の本当の目的は?

 「二重行政の解消のため地方自治制度を変えよう」という言葉には説得力があります。しかし、行政運営はコスト追及からすれば分権型より集中型が効率的であり、大阪都に権力を集中させるようなことになれば「地方分権」は後退することになります。制度改革ばかりが先行し、大阪府民・市民への行政サービスの向上は置き去りにされています。「抵抗勢力を潰せ」と強引な手法による「改革」のみではこれからの地方自治は危機に瀕すると私は思います。




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