田中和子の区議会レポート




田中和子の意見・異見1

不正請求を処分で終わらせてはいけない―くすのきの郷をめぐってー

区立特別養護老人ホーム「くすのきの郷」の介護報酬不正請求と虚偽報告による都の区に対する処分は、他の区立特養ホームと8ヵ所の高齢者在宅サービスセンターのサービスが区立として行えなくなるという厳しいものでした。5年間にわたり不正行為を発見・防止できなかった区の責任は重いものです。
区議会は区立特別養護老人ホームが民設民営になっても、区の一定の関与と指導を望むとともに議会として執行機関に対するチェック機能を発揮し区民の信託に応えることを主旨とした決議を行いました。

◆庁内の情報共有化は?
2月23日、くすのきの郷施設長は自ら事態を区に報告した。4月27日、新聞報道されることになり、区は議会各会派幹事長に報告した。この日、区民も議会も初めて介護報酬の不正請求を知った。庁議会議録を調べると、新区長になって最初の5月9日の庁議で初めて報告されていた。
6月28日の総務区民委員会において、前総務部長(現副区長)は4月24日頃この件を初めて聞いたと答えたが、現総務部長(6月1日就任)は前区長・前副区長には二人が在任中報告してきたと答えた。前区長・副区長の在任中は誰が彼らに報告していたのか。前総務部長は蚊帳の外だったのか。区の情報共有のあり方が問われる。
施設長の告白から庁議報告までの2ヶ月間以上、情報を共有して速やかな対応がとれない区の体制は立て直さなくてはいけない。隠し続けた区の体質も問題である。4月22日の区長・区議選に影響を与えると判断し、隠していたのではと勘ぐりたくなる。指定管理者へのチェック機能が果たせない議会にも課題が残った。

◆前三役の処分はなし!

6月28日、区長の1ヶ月の給料の100分の10を減給する条例が議会で可決された。副区長も同率で自主返納、区は部課長5人の処分を発表した。5人は不正請求が行われた過去5年間に福祉部長や高齢者福祉課長の経験者、現在の福祉部長、高齢者福祉課長である。
前区長、前副区長、収入役(3月で廃止)の前三役の処分はなかった。辞めた人の処分は考えていないとのことである。くしくも、不正請求が公表された4月27日は新区長の初登庁の日だった。

◆現場の声に耳を傾け、制度の問題点の検証を!
市民フォーラムは本会議で「くすのきの郷一施設の問題とせず、このような事態を引き起こした要因を検証すべし」という質問を行った。
しかし区長は「今回の事例はくすのきの郷だけのものであり、介護の質と職員の配置一般の問題ではない」と答弁した。介護の現場の人材確保の困難さ、介護報酬を上げれば職員の確保は可能になるが、これは介護保険料の値上げに直結する等、制度そのものが多くの問題を抱えている。現場の声に耳を傾け、くすのきの例を検証し、国に声をあげることは不名誉な処分を受けた文京区こそができることである。「処分を行ったからよい」のではない。
いくつかの自治体が特別養護老人ホームの民設民営化を図り始めている。文京区は行財政改革なし、区民との摩擦なしで、民設民営化ができる。
「どうせ民営化にいつかはなるのよ」という安易な判断が存在していたら、区民の老後は安心できないものになる。区立を手放さなければならない今、今後の高齢者福祉のあり方をしっかり築
かなくてはならない。


田中和子の意見・異見2
どっちを向いて仕事をしているのか!ワンルームマンションとは

◆6月26日の総務区民委員会で、旧本駒込北寿会館売却の報告がされた。
2004年3月に策定された「新行財政改革推進計画」により本駒込北寿会館の寿会館及び区民会館としての用途は2005年度をもって廃止された。
2006年第1回区議会定例会で売却が報告され、今議会で一般競争入札により、不動産業者(いわゆるマンション業者)が1億3,670万円で落札したことが報告された。

◆ 区は売買契約書の中に「土地利用等」という項目を設け、「建築物の用途が集合住宅のときは、原則としてファミリータイプとすること」を条件にした。しかし、業者が計画中のマンションは、ワンルーム32戸、ファミリータイプ2戸であることが明らかになった。区は「一般競争入札で区民に財産として還元すべきと思った。しかし、原則という表現は曖昧であり明確にすべきであった。遺憾に思う」と答弁した。業者に再度、交渉すべきという議会の声に、区は議会の意見を伝えるとした。多くの反対を押し切って寿会館を廃止したあげく、ワンルーム建設に区有地を売却するなど、近隣住民を無視した行為である。

◆同じ2006年第1回区議会定例会で売却が報告された旧汐見地域活動センターは、一般競争入札ではなくプロポーザル形式(予め利用計画書を提出する)により売却された。2者の応募があり、購入したのは文京区医師会である。医師会が提示した価格は他者より低かったが提案内容が勝っていたことになる。
旧本駒込北寿会館も「文京区公有財産管理運用委員会」において、当初は、「用途規制がゆるいため区民に及ぼす影響が懸念されることから、総合的に評価し、事業内容についても配慮していきたい」とプロポーザル形式での売却を謳っていたが、これを変更し一般競争入札を行った。

◆公有地を売却する場合、一般競争入札とプロポーザルによる方法とでは、どちらが原則か。「一般競争入札で売却するのが原則である。しかし、売却物件の要因等を考慮し、プロポーザルにて売却する場合もある」というのが区の正式な見解である。
しかし、売却物件の要因は自由裁量に思える。区有地は区民の財産であることを忘れた行いは許されない。



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