築地移転問題・豊洲新市場の土壌汚染について学習会
講師 水谷和子さん (一級建築士) 

 23区の主に無所属議員でつくる 「23区民自治の会」では、昨年、築地市場の移転問題について、豊洲市場用地の土壌汚染調査と対策について長年追跡されている水谷和子さんを囲んで学習会をもった。その時私は、「豊洲への移転がまったく水面下の交渉で行われていたこと」、「土壌汚染についても不十分な調査であったこと」、それにもかかわらず東京都は、「土壌汚染については市場用地として支障がないと言い切っていること」や「都民不在のまま大きなお金が動いている都政のあり方」等を知れば知るほど、ここまでひどいのかと改めて驚いた。そして、この情報はぜひ区民の皆さまと共有したいと思い、2月25日、水谷さんをお招きして学習会を開催した(文京区民センターにて)。

1 豊洲市新市場の土壌汚染対策は
◆東京ガスが行った汚染対策
 東京ガスは1956年から88年までの32年間、ガスの製造や供給を豊洲工場で行ってきた。東京ガスは1998年に汚染調査を始めたが、2001年に施行された都基準である30mメッシュ(30m×30mの方眼に分ける)で49か所のみを行っており、2002年に土壌汚染対策法が「汚染のある土地は10mメッシュ」と定めたのと比べれば粗い区画単位であった。加えて表層2mを環境基準以下に、2m以深は環境基準の10倍以上を処理するもので、汚染の相当量は残置されていた。東京ガスが汚染除去に要した汚染対策費は178億円であった。
◆専門家会議の報告と対策は
 2007年5月、石原知事は3期目の選挙時の約束で豊洲新市場予定地の汚染検証チームとして専門家会議を開催、08年8月の調査結果(高濃度のベンゼン、シアン化合物などによる土壌汚染が全域に広がっていることが判明)を基に、「4.5mの盛り土、地下水水位管理」が報告された。しかし、盛り土は行われていなかった。東京都がこれまでに要した汚染対策費は849億円にのぼる。都が2020年東京五輪の開催をにらんで、豊洲移転スケジュールを工期優先にしたためともいわれている。
◆盛り土と地下水水位管理は
 2011年3月の日建設計との打ち合わせで、都は「モニタリング空間は、土壌対策後2年間の土壌汚染確認を行うスペース」と位置づけ、「もし汚染が確認された場合、土の入れ替えも考えているため、空間を設置する」としている。その後の2015年5月の打ち合わせにおいて、「建物下の盛り土なしの指示をしたが設計変更は可能か」と質問を行ったが「図面が出来上がり後戻りできない」との回答をうけ、盛り土なしが確定した。また、2016年10月に地下水管理システムが本格作動した後の水位は、専門家会議の管理水位まで下がったことはなく、目標水位が確保されない危惧がある。仮に盛り土をしたとしても地下水位がコントロールされていなくては盛り土自体の意味がなくなる。

2 なぜ豊洲なのか? 市場のため? それとも誰かのため?
◆築地再整備の頓挫と豊洲移転の水面下交渉時期は重なる
 1980年代末頃、「豊洲・晴海開発整備計画」があった。この計画はバブルの崩壊でいったん破たんするが、動きは続いていた。築地市場の豊洲移転については1995年頃から当時の市場長が自民党の議員や業者の何人かと打ち合わせをしていたといわれる。その一方で築地での再整備は1991年に着工をはじめたが、再整備費400億円を使った段階で1996年工事はストップした。1998年に東京ガスと都の交渉が顕在化し、2001年東京ガスと本格的協議に入る覚え書きが交わされ、石原知事が「移転候補地は豊洲」を宣言した。1999年に石原知事が誕生し、話題の浜渦副知事は石原知事に乞われて2000年に就任し、交渉に登場するが水面下の交渉があまりにも多い。
◆本当に築地市場老朽化のためか?
 議会委員会で当時の築地市場再整備担当部長は「土壌汚染については市場用地として支障がないことを確認して購入する予定である」と答弁している。しかし都は東京ガスの行った汚染対策工事は表層2mを環境基準以下に、2m以深は環境基準の10倍以上を処理するとしており、汚染は残置されていることを知っていたはずである。
東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業として区画整理が行われ、都は汚染のひどい工場跡地と都有地を交換し、その後、換地では取得しきれなかった土地を2回に分けて
購入した。東京ガスは汚染対策費に178億円を使い、土地を1,890億円で売却した。 
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 汚染については巧みな二枚舌を使い、このような買物を都はなぜしたのか、豊洲移転が大前提として物事が進んでいたことは否めない。
あまりにも都政はブラックボックスであることがわかる。
★上記の学習会報告は講師の水谷和子さんのお話と『築地移転の闇をひらく』(水谷和子他/大月書店)を参考に田中和子がまとめました。

 現在、都議会は、築地市場から豊洲市場への移転の経緯を検証するための百条委員会を開催したが、明確な解明ができず幕引きをし、4月26日元副知事の浜渦武生氏と用地取得担当だった元理事の赤星経昭氏の証言を偽証とすることを認定した。浜渦氏は2005年にも、東京都社会福祉総合学院(閉校)の運営問題をめぐり、百条委員会で偽証の問責決議をうけたが、辞職したため、刑事告発は見送られた。都のプロジェクトチームは4月26日「豊洲市場への移転案」と「築地市場の再整備案の素案」を公表した。議論百出である。 小池知事はどのような判断を行うのか。都民の安心と卸売市場の意義を踏まえた判断を期待したい。



羽田空港増便問題学習会
 寄稿:航空機騒音を考える文京区民の会 岩佐佳英
●3月4日(土)午後、文京区民センターで羽田空港増便問題に関する学習会が文京区で初めて開催されました。羽田空港の増便問題は、2014年に国土交通省が発表した羽田空港の機能強化計画案に端を発します。この計画は、現在年間44万回の羽田空港の発着回数を国際便に限り3万9,000回増加させるというものです。そのために着陸便の飛行コースを低空で都心を通過させるというものにします。この飛行コースの下に予定されている各地の住民の間で反対の声が上がり、集会、学習会、署名、議会への請願などが活発に行われています。   
この増便計画がそもそもどういうものなのか、そして、それが文京区に及ぼす影響はどういうものが考えられるか、ということを明らかにするための学習会を計画しました。
会場は定員36名の小会議室でしたが、参加者34名とこの問題への関心が区内でも高まってきていることを感じさせられました。参加者の多くは区民でしたが、増便による飛行コースの影響をまともに受ける大田区や港区などからの参加者もあり、問題の深刻さと広がりを感じました。この学習会は、「航空機騒音を考える文京区民の会」が主催し、「グループきらっと」が共催で開催にこぎつけました。
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 ●「東京タワーより高いがスカイツリーより低い 羽田増便首都圏低空飛行ルート案を考える」と題して、元日航のチーフパーサーを長年務められた秀島一生さんに2時間にわたる解説をしていただきました。秀島さんは、羽田増便問題の背景にあるアメリカの航空規制緩和、日本の航空規制緩和から説き起こし、横田基地が設定している首都圏をおおう横田空域の問題、羽田一極集中が抱える航空行政の問題点、都心低空飛行がもたらす危険(騒音、落下物、航空機トラブル)などに言及されました。国際便増加による経済効果の見積もり当初3,000億円という額が数か月後に6,500億円になったなどの国交省の不可解な対応、経済効果を口実に住民の安全が軽視されていることなどが強調されました。
●続いて、「航空機騒音を考える文京区民の会」から、増便計画で設定されている新しい飛行コースが文京区に及ぼす影響について報告しました。現在でも、混雑などを理由にして、設定された飛行コースを4キロから7キロ離れて、文京区全域の上空を羽田からの離陸便が通過している状況からすると、増便計画によって、区上空通過航空機が増加することは必至であり、騒音などの影響は増大するとの見通しを示しました。
具体的には計画された飛行コースによっていくつかのケースに分類されます。
① 北風の場合の離陸コース―年間210日を想定。1日のうち特定の8時間30分をこのコースに充てています。荒川を北上して足立・北区を目指すものです。1日187機の飛行を想定するものです。このうちの一部が文京区上空を通過する蓋然性が高いです。
② 南風の場合の離陸コース―これは現在の離陸コースと同じとされています。1日のうち特定の4時間に104機が飛行します。このうちの一部が文京区上空を通過する蓋然性が高いです。
③ 南風の場合の着陸コース―これが一番問題とされている都心低空飛行のコースです。特定の時間帯4時間に176機が板橋、豊島、新宿、渋谷、港、品川、大田の各区上空を1200mから300mの低空で飛行するというものです。このうち120機が隣接する豊島、新宿を低空で通過します。文京区西部、目白台、関口周辺上空を通過したり、大きな飛行音が聞こえてくる可能性があります。
●最後に、文京区民として、新飛行コース直下に住む他区の住民の方たちの声や苦しみに耳を傾け、連携して増便問題に異を唱えていくべきことを訴えました。

★増便問題や飛行コース図等については「航空機騒音を考える文京区民の会」のホームページをご覧ください。会員も募集しています。            
http://www.geocities.jp/kokukisoon