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田中和子の区議会レポート

 様々な困難を抱える女性のための施設である母子生活支援施設は児童福祉法に、更生施設は生活保護法を根拠に設置されています。しかし、婦人保護施設は65年前に制定された売春防止法を根拠に設置されています。
 売春防止法は売春した女子を罰しますが、買春する側の罰則規定は定められていません。本来は貧困などのため人身売買や性的搾取の犠牲になった女性を支援の対象とすべきですが、女性を処罰・保護更生の対象としています。現在も、この売春防止法に則り婦人保護事業が行われており、支援の在り方に対する速やかな検討を求め意見書を書きました。全会派の賛成を経て、本会議で議員提出議案として可決されました。意見書の内容を以下に記します。

婦人保護事業を当事者の尊厳の回復や自立支援に基づく制度又は法の下で実施するために、速やかな検討を求める意見書     
 国は様々な困難な問題を抱えた女性への支援を、1956 年制定の売春防止法を根拠に「婦人 保護事業」として現在行っています。
 その後、ニーズの多様化により、2001 年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」によるDV被害者が、2004 年には「人身取引対策行動計画」に基づく人身取引被害者が、2016 年には「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の改正によるストーカー被害者が支援対象に加えられました。
 しかし、売春防止法は制定以来、抜本的な改正が行われておらず、婦人保護事業開始当初は、 事業の対象として想定されなかった、AV出演強要やJKビジネス問題への対応、性暴力・性 被害にあった10代の女性への支援、貧困、虐待、居住喪失の状態にある女性たちの増加により、売春防止法による婦人保護事業では、必要な支援が届けられない状況にあります。
 2016 年に与党の「性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム」(以下与党PT)による「性犯罪・性暴力被害根絶のための10の提言」が出され、婦人保護事業の法的な措置を含め、抜本的な見直しを提言しています。また2018年7月、厚生労働省 は「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」を設置し検討を開始し、2019年10月、「婦人保護事業の現状と課題」「婦人保護事業の運用面における見直し」「婦人保護事 業の見直しに関する新たな制度の基本的な考え方」をまとめた「中間のまとめ」を公表しました。
 この間、2019年4月には与党PTが厚生労働大臣への申し入れ書「婦人保護事業の運用面の見直しについて」を、同年6月には厚生労働省こども家庭局が「婦人保護事業の運用面の見直し方針について」の中で、運用面の改善を図るため 2020年度予算に向け、具体化を図ることを述べています。至急を要する運用面での改善は図られてきましたが、新型コロナウイルス感染拡大もあり、 新たな制度の検討までは進んでいません。法制定から65年経った売春防止法は女性の尊厳の回復や自立支援は明記されておらず、処罰の意味合いが強く、福祉的な視点も欠けています。   
 よって、文京区議会は、政府及び国会に対し、コロナ禍で顕在化してきた性暴力や性犯罪、様々な困難を抱える女性たちへの支援が、尊厳の回復や自立支援に基づく制度又は法の下で行 われるよう、速やかな検討を強く求めます。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和3年3月26日
文京区議会議長 海老澤 敬子

内閣総理大臣 菅 義偉 様
法務大臣   上川 陽子 様
内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 丸川 珠代 様
衆議院議長  島 理森 様
参議院議長  山東 昭子 様


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